DOORA

---SIDE STORY---

#1.DOORA

T

○宇宙刑事と名乗るこのレイキャスト。今は宇宙刑事ではなく、かといって回路が故障しているわけでもない。そう、過去において実際に宇宙刑事であった。ラグオルとは別の銀河で警察の狙撃隊=DOORS(ドアーズ)に所属していたアンドロイドである。HUMANやNEWMANで編成された警察内でも、特に狙撃隊はアンドロイドの独壇場といっても過言ではない。あらゆる重火器を使いこなし、ミスの無い冷酷で正確無比な一撃を敵に放つ。これ以上に無いほどの適材である。名前の由来は、DOORS隊のAクラスアンドロイドであることを意味し、この1ワンランク上のSクラスのみ栄誉あるDOORSの称号を得られる。DOORS隊の最小部隊構成は、RAmar幹部1名+RAcast or RAcaseal2名による3名による。明らかな攻防が想定される場合、多くは RAcast が、隠密裏に行う作戦には RAcaseal が出撃するという構成が一般的だ。功績の認められた優秀なアンドロイドはマスターなしにアイデンティティーを認められ自立することが出来る。多くのアンドロイドは、アイデンティティーを確立後も隊に継続して残るのが通例だ。理由は簡単だ。アイデンティティーを確立するということは、自立することであり、自己のメンテナンスや燃料を含めたかかる一切の費用を自らが稼がなければならない。除隊したアンドロイドの行き先は、危険な宇宙工事現場や、傭兵程度しかないのだ。それならば栄誉ある職を継続するのが自明の理である。

 DOORAはある作戦を境にDOORS隊を除隊する。DOORAが除隊したのには理由があった。彼のマスターは、部隊長であるJOHNNY隊長であった。HUMANにしては彼は欲がなくストイックな生き方を好んだ。正義感が強く義理にとんだジョニー隊長は、常にDOORAを率い危険で重要な職務に従事した。ジョニーはDOORS隊でもピカ一の腕利きで、NEWMANを凌ぐ頭脳の持ち主であった。誰からも尊敬を受け、同時にこの銀河で最も恐れられた警察官でもあった。しかし、ある者達を除いて・・・。ある日突然DOORAの元にジョニーから連絡があった。

「ドーラ、よく聞いてくれ。俺は今日隊を抜ける。もう会うことはないだろう。アイデンティティーを得てからも、今まで良く俺の元で危険な任務についてくれた。お前は最高のパートナーだ。HUMAN以上に情け深く清い精神と強い情熱を持っている。しかし、もう終わりだ。何かもかも終わりだ。ちきしょー、終わっちまった。終わっちまったんだ・・・。最低だ、何かも最低だ。おまえにこんな形で別れを言う俺も含めて最低だ!さよならだ。ありがとう、ありがとう・・・今まで・・・。」

「いたぞーっ!撃て!殺せ!店内の者も残さず殺せ!誰一人逃すな!」

唐突に飛び込んだ怒声と同時に、激しい銃声と炸裂音、そして悲鳴、悲鳴、悲鳴。そうして通信は途絶えた。

 数日を経て、DOORAは除隊する。いったいジョニー隊長に何があったのか。自らを宇宙刑事と名乗り、真実を知るためにDOORAは謎と隊長を追う。隊長(マスター)は生きている、DOORAは確信していた。

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